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【高校生】小論文対策はいつから?そして対策までに・・

どの大学のどの学科に出願するかを決めると、今度は、どの受験型で受験するかを選ぶことになります。小論文が出題される試験を受験する場合には、学校の授業とは別に小論文対策が必要になります。

この小論文対策を「いつから始めるのがイイのか?」というのは、試験で小論文が占める配点の割合で変わってくると思います。例えば、2割程度であれば、入試直前で残り2ヶ月を切ってからでも、「ギリギリ間に合う」という意味では(人によりますが)何とかなると思います。

しかしながら、占める割合が4~5割や「面接と小論文のみ」のように大きく占める場合には、遅くても4ヶ月ほど前(だいたい夏の終わり頃)には対策を始めたいです。当然ながら、過去問を参考にどのような出題傾向にあるのかを分析し、それに合わせて準備をするのですが、予期せぬ設問であっても、本人が当日困らないように、「生徒本人の中にあるもの」を論文として文面に出せるように実力をつけるためには、短くてもこれくらいの期間が必要です。

よく聞く話で、小論文は「『だ。である。』調で、最初に結論を書いて、それを受けて詳しく論じて、最後にもう一回結論としてまとめる。」というのがあるのですが、これは、先程触れた2割程度の比重で残り2ヶ月もない生徒に「何とか体裁だけでも」と教える、その場しのぎの書き方です。

少し話が逸れますが、私、博士号を持っておりますので、ここで「小」がつかない本来の論文についても書きたいと思います。本来の論文の構成は<①研究背景、②理論、③手法・条件・装置など、④結果、⑤考察、⑥まとめ>という流れで、いきなり結論を書くことはしません。この流れに沿って、客観的で、論理的に、分かりやすくまとめることが大切なポイントです。

この本来の論文をコンパクトにしたのが、「小論文」です。

話を元に戻します。小論文を書くときに、最初に練習するのは、結論の部分を客観的かつ論理的にまとめる練習です。読書感想文に出てくるような「感動しました」や「すごいと思いました」など主観的な表現は入る余地がありません。論文の中では善悪も良否も論じません。実験データや調査結果を受けて結論を淡々と論じるだけです。結果の善悪や良否は読み手が判断することで、書き手はあくまでもその材料を提供するに過ぎません。一例を挙げると、「効率が上がった。」と書くのであって、「効率が良くなった」とは書きません(良い悪いではなく、上がった下がった、です)。結論が書けるようになると、結論に矛盾なくたどり着けるよう論理を展開する練習をし、それが書けるようになると、最後にスムーズに論理に入り、そして結論を示唆するような導入部の書き方の練習をします。

当塾でも、言葉の選び方ひとつから細かく指導を行いますので、最初、生徒の書いた文章は、真っ赤に添削されて、本人の文章がほとんど残っていない状態です。そこから始まり、受験までに、どこに出しても恥ずかしくない状態まで仕上げていきますので、それなりの期間がかかります。ただこれまでに、これをしっかりとやってきましたし、生徒も頑張ってついてきてくれましたので、お陰さまで、小論文を必要とする試験においても全員合格してくれています。

さて、ここで大切なことなのですが、小論文が受験科目に入ってくると、このように、学校の授業では習わないことを準備しなくてなりません。そして、一つの学科のみを受験するという人はかなり少ないと思います。いくつか、場合によっては、いくつもの学校を受験する人も多いと思います。第一志望の学科は小論文があるけれど、第二志望、第三志望は小論文がないというケースもよくあることです。そうなってくると、受験が差し迫った頃に小論文だけ準備するというわけにはいかなくなります。つまり、他の人たちよりも、早めに小論文以外の科目の準備も始めないと、時間が足りなくなってしまいます。

受験3ヶ月前には、小論文を含め、全体としてバランスよく準備を進められるようにしておかないと、「あー、小論の準備がー・・・。」とか「小論やってたから英語の準備がー・・・。」と一気に不安定な状態になってしまいます。そして、前回の記事にも書きましたが、中高一貫校は、一般的な公立高校よりも速く進んでいて、だいたい3年生の春には受験対策に切り替わっています。加えて、難関大学になると、中学校からその大学を目指していたという受験生も大勢います。ですので、3年生の春からの準備は早い方ではないです。学校の授業を大切にしながら、できるところから受験対策に入っていくことがお勧めです。