国語は他の教科に比べて「勉強方法がわからない」と手をつけるのが後回しになりがちです。しかし、国語は、その他の教科の基盤であるということ以前に、日本で生活する上で欠かすことのできない言語です。家族や友達との会話、手紙やメッセージのやりとり、更には、漫画を読むのにも、アニメを観るにも、全てのシーンにおいて欠かすことができません。「伝えたいことを伝えられない」ことや、反対に、「相手の伝えたいことを汲み取れない」ことなどは国語力の欠如や不足によって起こっているといっても過言ではありません。年齢に応じた国語力を習得していくことは、学校の成績のみならず、長い人生のためにも必要なことです。
では、どのようにすれば国語力を上げていくことができるのでしょうか。その方法の一つが「音読」です。

音読のすすめ
「音読」とは声に出しながら文章を読むことです。教科書の文章を、良い姿勢を意識して、正しく、はっきり、すらすらと読めるようになるまで練習するのが良いでしょう。最初は、正確に読むことを心掛けましょう。文章を覚えるくらいまで読み込むと、文章の意味や語句のまとまりを意識できるようになります。スピードを気にする必要はありません。「音読」には様々な効果があると言われています。ひらがな(平仮名)やカタカナ(片仮名)・漢字に目と耳で触れることで「語彙力」を鍛え、文章を理解する「読解力」も身に付きます。読むことに対する苦手意識を取り除き、読書は楽しいものだと感じる力を育てることもできます。
もちろん学校の授業でも音読の機会がありますが、それだけでは十分とは言えません。学校や塾だけでなく、家庭学習において（特に低学年のうちは）保護者が子供の音読に付き添えることが理想的です。漢字の読み方を教えてあげたり、表現の良かったところを褒めてあげたりすると子供のやる気がぐんと伸びていきます。
中学年になったら、文章全体の持つ意味を意識しながら読めるようになることが大切です。文章の量も増え、内容も複雑になってきますので、段落ごとに区切って少なくとも３回は音読するようにしてみましょう。最初はつかえるところがあっても、段々とスムーズに読めるようになっていきます。これは、中学年に限りませんが、読んだ内容や語彙が身についてくるからです。
低学年、中学年と音読をしっかりしていると、高学年になる頃には、大人が読む一般的な文章も読めるようになってきます。この段階になってくると、もう音読にこだわらなくても良くなってきます。黙読で良いので、興味のある分野の文章(小説や科学記事など)に触れてみましょう。意味の分からない語句は、自分で調べたり、家族や先生に聞いたりすることで、更に語彙力がアップします。また、本を読む習慣が醸成されやすくなります。

読解力だけじゃない！暗記に効果！
一言で「国語力」と言っても、大きく2つに分かれます。1つは、日常生活の中で使うコミュニケーションを伴う日本語(国語)の力で、もう1つは、文章を読んだり、書いたりといった直接的なコミュニケーションを伴わない日本語(国語)の力です。学校のテストで評価されるのは、後者の能力です。テストの点や内申点を上げるには、「読む力(読解力)」と「書く力(作文力)」を付けることがとても大切になります。ただし、前者の日常生活の中で使う国語の能力と、後者の能力は密接に結びついていて、どこかに明確な境界線があるわけではありません。読む力(読解力)を上げることは、そのまま日常生活においても、物事を幅広く理解できることに繋がりますので、いろんな意味で豊かな人生を歩む一助になります。その第一歩が、小学生のうちから音読に丁寧に取り組むことです。
また、読解力を上げることは、国語以外の教科へも良い影響があります。算数や理科が苦手な生徒の中で、「問題文の意味が分からない。(意味さえ分かれば正解できる)」「何を答えればいいのか分からない。(問われていることが分かれば正解できる)」といった生徒がいます。これは、算数や理科の能力ではなく、実は読解力です。この記事を読まれている方はお分かりだと思いますが、どの教科においても「読解力」は必要不可欠です。
それから、音読は暗記科目にも効果を発揮します。黙読や紙に書くだけより、口から発する言葉のリズムによって記憶に残りやすくなるからです。中学生になると社会や理科で難しい人物名や法則名を覚えなければなりませんし、英語も長い単語やいくつもの似たようなフレーズを覚えなければなりません。その時は、きっと音読の習慣が力となることでしょう。

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