ブログ

【回想】財布を心配する生徒、背中を押す親

生徒「えっ!!じゃあ、社会を1コマ減らして・・・、それから、理科を2コマ減らして・・・、国語も・・・んーと、・・・」
私「おいおい、今、自分で『精一杯がんばる』って言ったところじゃん!」
母「そうよ。あなたが頑張るならお母さんイイわよ。お金のことは心配しなくて良いから頑張んなさい。これで中途半端に減らして、悔いが残ったら、お母さんも後悔しちゃうわ。最後の夏よ。」

これは、10年以上前、私が某個別指導塾の教室長(社員)として、夏期講習の授業内容とコマ数(1コマ=1授業)を面談で決めていたときの会話です。夏休みを目前にして、生徒本人は「この夏はやらなきゃ!」と決心していて、国数英理社の5教科全てを1年生から復習して、どうにか内申点アップと志望校合格をと思っていました。ですので、1教科あたり、10コマ以上になり、トータルで60コマ以上になりました。時間にして100時間ほどでした。ここまでは、私が、「結構、コマ数多いけど大丈夫かな。」と、質問しても「はい、大丈夫です。頑張ります。やるしかないんで。」と、言っていた生徒でしたが、その次の授業料を出したところで、冒頭の「えっ!!じゃあ、社会を1コマ減らして・・・」と言い始めたのです。その時の金額は10万円を超えていました。そんな我が子に、一緒にいたお母さんは、前もって心づもりをされておられて、「心配しなくて良い」と、背中を押したのでした。生徒もその一言で、覚悟を決めて、自分で決めた最初の時間数で頑張ることにしました。

実は、このような会話は、程度の違いはあれ、時々ある会話でした。生徒本人は、自分の身に受験という火の粉が降りかかってきて、やっと、「やらなきゃ!」となります。その姿を見て親御さんは、それなりの出費を覚悟され、そして面談に来られて、やる気満々の我が子の授業数が決まり、金額が決まり、決して安くない授業料となり、「あんたが頑張るなら、応援するよ。」なのですが、何万円もする授業料を目の当たりにして、生徒本人が気が引けてしまうのです。そして、少しでも安くしようと、各教科1コマや2コマずつ減らそうとしだしてしまうのです。

この様子を見ていた当時の私は、折角、生徒の気持ちが「がんばる!」となっているのに、金額をみて、「やっぱり・・」となるのは、とても心苦しかったです。時間数の方で、「えー、そんなにできない。」と言うのなら、無理にやらせるつもりはありませんし、本人の気持ちが続く時間数になるように一緒に考えるのですが、本人にやる気があり、親御さんがOKを出している中で、金額で気持ちが引いてしまうのは、違和感を感じていました。

そこで、塾を開くにあたり、「授業料を気にせず、精一杯、後悔なくやり切れる環境を」と思い、毎月の授業料は高くなるけれども、授業を増やしたい時に、お金の心配をせずに、授業を増やせるコースを作りました。それが総合コースです。当塾の中学生のほとんどは総合コースで、ほぼ全員がテスト対策や講習の回数を、こちらから言わなくても自分で増やしてきます。生徒が自ら授業の回数を増やしたいと言ってきたことは、私が社員だった頃には、まずありませんでした。やっぱり皆、本当はもっと説明してほしいところや、質問したいところがあったんだなと、改めて感じています。

 

中学生向け学習プラン

 

(参考)ちなみに、上の会話の場合は、1教科あたりで平均するとだいたい20時間です。パッと見は多く見えるかもしれませんが、1日24時間ですから、それよりも短いですし、夏休み(40日間)中に行いますので、スケジュールをきちんと組めば、無理なく熟(こな)せる時間数です。そして、この授業時間は夏休みの講習としては特別多いというわけではないです。